日星商事に勤める一見普通のサラリーマン、句楽兼人。しかし何故か周りの人間は彼のことを恐れ、近寄ろうともしない。しかし、彼の昔の友人、片山は不運にも家に遊びに来るよう誘われてしまう。 前にスーパーヒーロー物の亜流とでもいいますか、『パーマン』という作品を描いたんです。で、描いてるうちに、こういういろんな超能力を持っている人間というのは、よっぽど堅固な道徳心を持っていないと、何やらかすかわからないだろうな、というようなことを考えましてね。 (中略) USDマンは、小池さんですね。彼は他の作品にもチョコチョコ顔を出しますが、あのキャラクターをあえて使った理由というのはあるのですか? 『USDマン』の前に『カイケツ小池さん』という作品を描いているんです。『USDマン』の前編みたいなものですが、その中で小池さんというのは、ごく普通のサラリーマンなんですけど、ずいぶん陽の当たらない存在で、自分では正義派を信じてるわけです。せっせと投書したり、新聞読んでは毎朝腹を立てたりしてるんですが、それがある日、何かのはずみでスーパーマンになって、そうなったとたんに、だんだん私威的にふるまい始めるというところで終わる作品です。『USDマン』はその続編ということになりますが、こっちの方が気にいっていますね。 (中略) 『USDマン』はかなりブラックな感じですが……。 やはり大人を対象にして描く時には、つっぱなしたような描き方をする時が多いですね。たとえば『ドラえもん』とか『オバQ』とか、ああいう手の物は、いろいろやはり気をつかいながら描きます。今はおおかた、子供マンガ、大人マンガというのはない、という定説もありますけど、やはり乳幼児にカレーライスは食べさせられないのと同じで、年齢によってやはりある程度、むくむかないはあると思うんです。小さな子供が読む物には、強すぎる香辛料は除くとかそういう配慮が必要だと思うので、一応気をつけて描いてますね。で、反動かどうか、大人むけならかなりのことがやれるもんだからもう“救い”とか、そのへんには気をつかわないことにして(笑)。 (中略) ご自分でお描きになった作品で、特にお気にいりのものというのはありますか? 好ききらいというのは、やはりあるようですね。『USDマン』はわりに気にいってたし、でもこれはやはり非常に主観的なものです。


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句楽の家に向かう途中、車の事故で遅れそうになって焦る片山の前に一人の男が空を飛んでやってくる。彼は正義の味方、「ウルトラスーパーデラックスマン」を名乗り、句楽の家まで片山を運んでやる。変装もしていない男の正体はもちろん、句楽兼人。
彼は超能力者になったいきさつ、そして誰にも打ち明けてこなかった想いを片山に打ち明ける。
暴走する正義をふりかざす“化け物”句楽の運命は?
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発 表:1975(昭和50)年12月
初出誌:SFマガジン 1976年1月号
頁 数:23ページ(初出時)、26ページ(修正後)
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「ウルトラスーパーデラックスマン」 小学館
ゴールデンコミックス第3巻
「箱船はいっぱい」 小学館叢書
異色短編集2
「気楽に殺ろうよ」 小学館文庫 藤子・F・不二雄[異色短編集]2
「カンビュセスの籤」 中央公論社 愛蔵版
SF全短篇 第1巻
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1970年にビッグコミックに発表された「カイケツ小池さん」の後日談とも言える作品。
「超能力者というのは、よほどの道徳心が強くないと、何をしでかすか分からない」と作者はよく語っていた通り、「力を持った者の悲劇」をテーマとした作品は数多い。その先駆けとも言えるこの作品ではそのテーマを最も血生臭く、かつ徹底的に描いている。主人公の句楽のキャラを「小池さん」に起用していることで多少はコミカルな運びになっているが、全体に漂う暗い空気と最後の何とももの悲しいラストは異色短編の中でもさらに異色な雰囲気を醸し出している。
ちなみに、この作品のタイトルは単行本などでは「ウルトラ・スーパー・デラックスマン」と表記されているが、初出時は「ウルトラスーパーデラックスマン」となっていた。
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ところで今回の『USDマン』(ウルトラスーパーデラックスマンの略)は、どのへんからアイディアを考えだしたのですか?
そこで気ままで、あまり物にこだわらないような人間がスーパーマンになった、という設定を置いてこの『USDマン』を描いてみたわけです。
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初出時から3ページ増えているが、大きな変更といったものはない。その中で印象的なのは、15ページ目の「ウルトラスーパーデラックスマンの出る幕がない」と怒るシーンである。初出時は「それが近ごろはどうだ。」のコマの後にテレビキャスターが笑顔で「今日も一日何ごともなく平穏に暮れました」というコマが描かれていた。続いて「ニュースを終ります」というコマが来て、先の「出る幕がない」に続いている。しかし、片山の「悪人たちがビビっちゃってるんだろ」のコマの後の「報道管制だ。」から「おれを甘く見るな!クソ…」の部分は初出時にはない。
また、20ページ目の「マスコミも悪者だった。」と「やつらをだまらせた。」のコマも初出時にはなかった。