ナンセンス──1意味をなさない事柄。意味を持たない事柄。また、そのさま。無意味。3実際にはありそうもない、通常の論理を踏みはずした事柄。また、そのさま。
(日本国語大事典より抜すい)
この自選集の内、ドラえもん七巻については一応ジャンル分けがなされています。SF・ナンセンス・風刺・夢と冒険の世界というわけです。ところが、この分類が実はかなりあいまいなのです。ハッキリ言って。
なぜあいまいかと言うと、それは“ドラえもん”というマンガの性格による物なのです。生活ギャグという分野をずっとやってきて、この辺で集大成みたいな作品を書きたいと思い立ったわけです。SFあり、ナンセンスあり、夢も冒険も、その他何もかもブチ込んだゴッタ煮みたいなマンガをと…。それがドラえもんなのです。だから一つひとつの作品に、いろんな要素が重複して入りこんでいるのです。選集の体裁上一応の分類はしました。一・二巻“SFの世界”は、上記のような理由で、比較的SF色の強い物を選びまとめました。今度は比較的ナンセンス色の強い作品集を、というわけです。
ナンセンス漫画といっても、これまた厳密な定義はないのです。ギャグ漫画すべてをひっくるめてナンセンスと呼ぶ人さえいます。ぼくの個人的な印象では、例えば筋の運びが1+1=11となるのはユーモア漫画。1+1=3、4、5→8となるのがナンセンスではないかと思うのです。常識を拒否し、論理を踏み倒し、飛躍、また飛躍!読者にとっては一コマ先が闇というのが優れたナンセンス漫画であると考えています。かつての杉浦茂氏。現在の赤塚不二夫君を、その世界の雄(オスではない。ユウとお読み下さい。)と呼ぶべきでしょう。
ナンセンスに徹した漫画を書くのは実にむずかしい。何度かアタックしたことはありますが成功しませんでした。ドラえもんが、いくら奇想天外な道具を出しても、それだけではナンセンスにならない。筋運びが問題なのです。どうしても話が、因果関係を離れずには展開しない。かといって何でもかんでもデタラメを書けばいいという物ではない。意外性とか、はぐらかされた驚きに、生理的な快感が伴わなければ、読んでいて面白くもなんともないわけです。実にむずかしい。と、いうわけでこの巻は“ナンセンスもどきの世界”です。